2024年度のおわりに

 2024年度は、WAMこどもの未来応援基金を受けてのパペットシアターPROJECTⅠ、休眠預金等活用事業緊急枠に採択されてのパペットシアターPROJECTⅡを実施できました。
 そのことで、様々に生き難さを抱えるこども・親子のみなさんとつくる人形劇アート体験を一気に飛躍させることができました。

 パペットシアターPROJECT関係、市民シンポジウム、各種養成講座、一般巡回公演あわせて19回のイベント開催でした。小さな研究会までふくめると23回の実施となります。
 そのなかで、たくさんのこどもたち、ステキな大人のみなさんと出会えて御一緒できたことをうれしく思っています(特にパペットシアターPROJECTⅡでは、各CSOや久留米市行政窓口ふくめて計21団体のみなさんと連携できました)。
 この場を借りて、皆様に御礼申し上げます。
 
 またNPO規程類の整備も終了しました。団体としては、理事会年4回、総会(臨時総会ふくめて)年3回の実施となりました。事務局会議は対面で年37回の実施です。ズーム会議を入れると年50回を超しました。
 こうしてみると、団体の活性化も進んだ1年でした。

 一番の収穫は、なんといっても人形劇アートが人の心を励ますことを定量的に実証できたことです。
数字であらわせるデータを蓄積できたことは、なんといっても強みではないでしょうか。

 アートはだれのためのもの?
心が萎えてうつむいてしまっている人たちのためのもの。

だからアートは人が生きるちからになるのだと思います。

 ひとつひとつの事業がヘビー級になってきていますから、2025年度に向けては気を引き締めてかからないといけません。
 そのために2024年度の1人専従1人半専従の事務局体制から、2025年度は2人専従体制に移行します。
 ヘビー級になった各事業、その分手ごたえも反響もある事業を、専従体制の事務局で支えていくことになります。

 皆様、2025年度もよろしくお願い申し上げます。

休眠預金等活用事業緊急枠事業報告会

主にインスタグラムで、その都度にご案内やご報告を行ってきた「パペットシアターPROJECTⅡ~人形劇でゆっくりじかん」の成果報告をふくめた、休眠預金緊急枠採択団体8団体の事業報告会が近づいてきました。

「困難を抱えた家庭のアクセシビリティ改善」のために、それぞれに違う分野で活動してきた緊急枠採択団体8団体の事業成果報告会です。皆様、御参加いただければ幸いです。

 大切なことは、それぞれの団体が有名か無名かではないと思います。それぞれの団体が「思い」をもって心身を削りながらとりくんできた各事業。
 大切なことは、その「思い」がどのように事業化され、どんな成果をあげたのか、そこを確認しあうことではないでしょうか。

 私たちの事業パペットシアターPROJECTⅡでは、人形劇アートのちからが、それぞれに違う苦しさを抱えた人々(家庭)にどれほどのちからを持つのか、それを報告します。

 じつは私たちは、過去「楽しい」という言葉を嫌ってきました。「楽しい」という言葉に張り付いたイメージ、「自分が楽しければいい」というミーイズム(自己中心主義)に、強い違和感を抱いてきたからです。
 だから「楽しい」という言葉は使いたくなかったし、ミーイズムの「楽しい」に踊っている人々をみると、そこからそっと遠ざかるようにしてきたのでした。

 しかし、私たちはパペットシアターPROJECTⅡを実行していくプロセスで、いろいろな疎外感や違和感、不登校経験や虐待経験に苦しんできた大人たち、家族がそれぞれにとてもたいへんな大人たち、こどもたちを心配している大人たちに出会ってきました。
 そこでは「楽しい体験がとても大切だ」と、心の底から思うようになりました。

 劇をみて、人とおしゃべりしてみて、心の底から楽しいと思える体験を参加者みんなでつくっていく。それがどんなに大切なことか。
それはミーイズムとは全くちがった楽しさだと、肌で実感してきたのでした。
 みんなで楽しい体験をつくるとは、みんなで楽しさを共有しあうこと。
楽しさを独り占めするミーイズムとは無縁のもの。
 だから「楽しい」を共有しあう場をつくりたいと、腹の底から思うようになってきたのでした。

 そして人形劇アートのちからが発揮されて生まれた「いままでみたことない場」に、素直に驚いています。

 さて事業報告会では、みなさまにその成果が伝わるようにがんばっています。
どの団体様も、みなさまに伝わるようにがんばってあると思います。
 それは小さな一歩かもしれません。
でもその一歩を踏み出すために、どれほどの労力と時間とおカネが必要なのか。痛いほどわかります。

 皆様、事業報告会へどうかお越しください。
お申込みは一般財団法人ちくご川コミュニティ財団さんへ。

たまきちゃん白書

今日は他団体のクラウドファンディングを紹介します。
「たまきちゃん白書で不登校の理解と行動を広げたい」一般財団法人ちくご川コミュニティ財団さんのクラウドファンディングがはじまっています。

寄付募集期間は2月1日から3月31日まで。
目標金額は100万円です。

不登校のこどもたちがいます、それも数多く。
福岡県だけでも1万8148人のこどもが不登校です。
そのこどもたちへの支援が圧倒的に不足しています。
ちくご川コミュニティ財団さんは、2024年に「子どもの多様な学びの場を保障する基金(愛称たまきちゃん)を設立されました。
この基金で不登校の子どものフリースクール利用料補助を目的とした奨学金事業を展開してあります。

でも、まだまだ不登校に対する理解も支援も足りません。
そこで「たまきちゃん白書」を作成し、不登校の子どもの学びの現状と課題を発行されることになりました。
そのためのクラウドファンディングです。

なんとしてもこのクラウドファンディングを成功させましょう!
ちなみに、ちくご川コミュニティ財団さんのクラウドファンディングのコーナーを覗くと、私たちの「一郎くんのリスタート」の写真もみることができますよ。
https://congrant.com/project/chikugogawa/14796?spt_route=GoFsFuL1kEBuI5qe

この作品は、不登校の一郎くんが主人公なんです。

2025年の御挨拶

あけましておめでとうございます。

今からがいよいよ厳しい厳冬期ですね。
木々も丸裸になりました。
しかし、目には見えないけれど、
木々の梢には春を迎えるちからが蓄えられています。

生命(いのち)の営みとは、
丸裸にされて、無残に寒々としていても、
いつだって回復していく、
そんな営みなのかもしれません。
だから、寒々としていても、
凛として美しいのかなあ。

じつは、正月早々、私たちはでフル稼働中です。
(在宅勤務ですけどね)
2025年の助成申請のために、おおわらわ。
いつだって追われてしまう仕事の数々を、一つの枠組みの中に位置づけなおす。
そんな2025年にしたいですね。

一つの枠組みってなに?
それは・・・、

「アートを最も必要としている人々は、アートから最も遠いところにいる」
そこを出発点にして、
人々と一緒になって、
まるで焚火を車座で囲みあうようなアート体験の場をつくる。
私たちのしごとは、そこに帰着する。

これが一つの枠組み。

いのちの営みがいつだって回復していくことならば、
アートの場という焚火を囲むことで、
いつのまにか深く傷ついた心が癒えてくるならば、

アートとは・・・、
いのちの営みと深いところで、
どこかできっと、
つながっているのかもしれません。
こころのどこか奥のほうで・・・。


皆様、2025年もよろしくお願い申し上げます。




2024年の収穫は対話のちから

2024年を振り返ってみます。
その成果は、なんといっても、観劇対話を編み出すことが出来たこと。
そう思います。

今年はWAMこどもの未来応援基金助成を受けてのパペットシアターPROJECTⅠに加えて、休眠預金等活用事業(緊急枠)に採択されてパペットシアターPROJECTⅡにとりくむことができました。
それは、
多くの人々が抱える生き難さに伴走できたということです。
それは、
アートが必要な人々と一緒になって、アート体験をともに生み出すことが出来た、ということでもあります。

そしてそのなかでも、もっとも特筆したいこと。
それが、観劇対話(ドラマダイアログ)です。
私たちは「対話のもつちから」に目を見張る思いをしてきました。

対話とはなにか。
それは、「意識化」(気づき)を生み出すプロセス。

対話によって、世界から一方的に命令される<客体化した自己>(ひたすら適応を求められるだけの自分)から、「意識化」(気づき)によって、<主体化した自己>(世界に働きかける自分)が生まれる。

その意味で対話とは、奪われてきた主体性を取り戻す、人間にしかできない行為といえるのでしょうか。

ここまで述べれば、「あぁ、あれか」と勘づかれることと思います。
そうです。
パウロ・フレイレの「被抑圧者の教育学」です。
ブラジルの成人識字運動実践者であり理論家であるパウロ・フレイレが提唱した対話。
それを一つの物差しとして、私たちは観劇対話(ドラマダイアログ)を進めてきたのでした。

世界に命令される自分から、
世界を名付けなおし、
働きかける自己が生まれる。
だから自然と心が前を向く。
それは、
とっても楽しいこと。

アンケートを読むが限りでは、少なくとも参加した皆さんは対話を「楽しい」と感じられているようです。

皆様、よいお年をお迎えください。
来年は、パペットシアターPROJECTⅡをどう発展させていくか。
私たちの正念場がはじまります。
どうぞ、来年もよろしくお願い申し上げます。