2024年の収穫は対話のちから

2024年を振り返ってみます。
その成果は、なんといっても、観劇対話を編み出すことが出来たこと。
そう思います。

今年はWAMこどもの未来応援基金助成を受けてのパペットシアターPROJECTⅠに加えて、休眠預金等活用事業(緊急枠)に採択されてパペットシアターPROJECTⅡにとりくむことができました。
それは、
多くの人々が抱える生き難さに伴走できたということです。
それは、
アートが必要な人々と一緒になって、アート体験をともに生み出すことが出来た、ということでもあります。

そしてそのなかでも、もっとも特筆したいこと。
それが、観劇対話(ドラマダイアログ)です。
私たちは「対話のもつちから」に目を見張る思いをしてきました。

対話とはなにか。
それは、「意識化」(気づき)を生み出すプロセス。

対話によって、世界から一方的に命令される<客体化した自己>(ひたすら適応を求められるだけの自分)から、「意識化」(気づき)によって、<主体化した自己>(世界に働きかける自分)が生まれる。

その意味で対話とは、奪われてきた主体性を取り戻す、人間にしかできない行為といえるのでしょうか。

ここまで述べれば、「あぁ、あれか」と勘づかれることと思います。
そうです。
パウロ・フレイレの「被抑圧者の教育学」です。
ブラジルの成人識字運動実践者であり理論家であるパウロ・フレイレが提唱した対話。
それを一つの物差しとして、私たちは観劇対話(ドラマダイアログ)を進めてきたのでした。

世界に命令される自分から、
世界を名付けなおし、
働きかける自己が生まれる。
だから自然と心が前を向く。
それは、
とっても楽しいこと。

アンケートを読むが限りでは、少なくとも参加した皆さんは対話を「楽しい」と感じられているようです。

皆様、よいお年をお迎えください。
来年は、パペットシアターPROJECTⅡをどう発展させていくか。
私たちの正念場がはじまります。
どうぞ、来年もよろしくお願い申し上げます。