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2025年度にどこまでいくか?

4月に入り、新年度の事業ミーティングもほぼ終わりに近づきました。
約10日間のミーティングのための引きこもり期間も、いよいよ終わろうとしています。

 2024年度は、休眠預金等活用事業緊急枠に採択された結果、様々な生き難さを抱えた人々と一緒に人形劇アート体験をつくることができました。
そこでたいへん大きな成果があがり、皆さんに喜んでいただき、私たちも貴重な知見をを得ることが出来ました。
 2025年度は、そのうえにたって「見えてきた具体的な課題」の解決に乗り出すことになります。

 それは「こどもの体験格差(文化体験格差ふくむ)」是正という課題です。この課題解決に向けて、社会的インパクト(社会の変化)を起こすこと。
それが2025年に新しく事業計画として一つ追加されました。

 私たちのアート体験プログラムは、実践に裏打ちされながら、より信頼性のある安定したものに成長してきています。
けれど、それだけでは「格差是正が必要だよね」という社会的インパクトは起きません。     

 なぜならそこで生まれる成果は、閉ざされた空間である「劇場」の内側で生まれているわけですから、その成果も外側からはうかがい知れない。少なくとも劇場の内側と外側をつなぐ人がいないかぎり、内側で生まれたことは外に伝わらない。あたりまえですよね。
 だから「アート体験が大切だからアート体験をふくむ体験格差をなんとかしなくては」という変化を外側の人々が起こしてくれることを期待する、なんていうのは虫のいい話ではないでしょうか。
 ここにアート系NPOの出番があると思っています。

 さていったん話は横道にそれるかに見えますが、こどもの体験格差とは、あの大きなインパクトを与えた今井悠介氏の「体験格差」(講談社現代新書)が、実証的データで明らかにした「連鎖するもうひとつの貧困」の問題であります。
 しかし、心の問題である体験格差は、心の問題であるがゆえに見えにくい。
見えにくいがゆえに放置されてきた問題です。それが格差是正に向けて支援の手も十分ではないという現状につながっています。

 私たちは、2024年度にあちこちでこの見えにくい問題の深刻な実態にふれてきました。
そして、心が揺さぶられてきました。

 それは他人事の同情心ではありません。
それは私たち自身の「悔しさ」が重なりあった「共振」でした。

 私たち自身がいろいろな事情でゆたかな体験が出来なかった経験をもっていますから、私たちの心が「共振」して心が揺さぶられてきたのだと思っています。
今井悠介氏のいう「連鎖するもうひとつの貧困」という言葉が、ヒリヒリした皮膚感覚でわかるのです。

 もちろん、体験格差でアートの問題を語ることはできません。
体験格差とアートを同列で扱うと「ちょっと違うな」と思う体感の感覚は、おそらく間違いないと思っています。
 ですが「アートに誰もが平等にアクセスできるようになる」こと。そのことが誰にとっても、そもそも大切なことだということを無視できません。「現状ではアクセスすることすら不平等ではないか」ということは、もっと社会の常識にならなければと思っています。

いや、社会の常識にしたいと思っています。

 アート・文化体験をふくめて体験格差を社会課題と認知し、その認知を周りに広げ具体的に変えていき、「だれもがアートに平等にアクセスできる」ことを社会の常識としていくこと。
これが大きな目標です。

そう考えると、話が大きすぎて何をしていいのかわからないほど途方に暮れてしまいます。

 しかし、「身近な地域社会の中になんらかの変化を具体的に生み出していくこと」と考えてみると、私たちでも有効な手立ては打てると思えてきます。
 たとえそれが、数十人や数百人のささやかな変化であっても、変化が生まれたことに変わりはないのではないでしょうか。それが、大きな変化を生み出すスタートになりえるのではないでしょうか?

 いろんな壁にぶつかってうまくいかないこともあるでしょう。
 そこばかりに注力してしまうと、肝心のアート体験プログラムが空洞化してしまうことにならないか、その危険もあるでしょう。
そこは絶妙なバランスをとる必要があると思っています。

 私たちは、アートは「生き難さを抱えるほど必要なもの」と身体全体で感じています。
アートは支えるちから、歩きだすちからです。
 だからアートに誰でも平等にアクセスできる地域社会づくりに汗を流すことは、私たちにとっては避けては通れない道なのです。
 もし、動いてみて変化を起こすことに失敗したとしてもいいではありませんか?動き出さないと、失敗すらできないのですから。

 この新しく付け加わった新事業に、どうか皆様のお力をお貸しいただければ幸いです。
2025年度はますます忙しくなりそうです。

 

2024年度のおわりに

 2024年度は、WAMこどもの未来応援基金を受けてのパペットシアターPROJECTⅠ、休眠預金等活用事業緊急枠に採択されてのパペットシアターPROJECTⅡを実施できました。
 そのことで、様々に生き難さを抱えるこども・親子のみなさんとつくる人形劇アート体験を一気に飛躍させることができました。

 パペットシアターPROJECT関係、市民シンポジウム、各種養成講座、一般巡回公演あわせて19回のイベント開催でした。小さな研究会までふくめると23回の実施となります。
 そのなかで、たくさんのこどもたち、ステキな大人のみなさんと出会えて御一緒できたことをうれしく思っています(特にパペットシアターPROJECTⅡでは、各CSOや久留米市行政窓口ふくめて計21団体のみなさんと連携できました)。
 この場を借りて、皆様に御礼申し上げます。
 
 またNPO規程類の整備も終了しました。団体としては、理事会年4回、総会(臨時総会ふくめて)年3回の実施となりました。事務局会議は対面で年37回の実施です。ズーム会議を入れると年50回を超しました。
 こうしてみると、団体の活性化も進んだ1年でした。

 一番の収穫は、なんといっても人形劇アートが人の心を励ますことを定量的に実証できたことです。
数字であらわせるデータを蓄積できたことは、なんといっても強みではないでしょうか。

 アートはだれのためのもの?
心が萎えてうつむいてしまっている人たちのためのもの。

だからアートは人が生きるちからになるのだと思います。

 ひとつひとつの事業がヘビー級になってきていますから、2025年度に向けては気を引き締めてかからないといけません。
 そのために2024年度の1人専従1人半専従の事務局体制から、2025年度は2人専従体制に移行します。
 ヘビー級になった各事業、その分手ごたえも反響もある事業を、専従体制の事務局で支えていくことになります。

 皆様、2025年度もよろしくお願い申し上げます。

休眠預金等活用事業緊急枠事業報告会

主にインスタグラムで、その都度にご案内やご報告を行ってきた「パペットシアターPROJECTⅡ~人形劇でゆっくりじかん」の成果報告をふくめた、休眠預金緊急枠採択団体8団体の事業報告会が近づいてきました。

「困難を抱えた家庭のアクセシビリティ改善」のために、それぞれに違う分野で活動してきた緊急枠採択団体8団体の事業成果報告会です。皆様、御参加いただければ幸いです。

 大切なことは、それぞれの団体が有名か無名かではないと思います。それぞれの団体が「思い」をもって心身を削りながらとりくんできた各事業。
 大切なことは、その「思い」がどのように事業化され、どんな成果をあげたのか、そこを確認しあうことではないでしょうか。

 私たちの事業パペットシアターPROJECTⅡでは、人形劇アートのちからが、それぞれに違う苦しさを抱えた人々(家庭)にどれほどのちからを持つのか、それを報告します。

 じつは私たちは、過去「楽しい」という言葉を嫌ってきました。「楽しい」という言葉に張り付いたイメージ、「自分が楽しければいい」というミーイズム(自己中心主義)に、強い違和感を抱いてきたからです。
 だから「楽しい」という言葉は使いたくなかったし、ミーイズムの「楽しい」に踊っている人々をみると、そこからそっと遠ざかるようにしてきたのでした。

 しかし、私たちはパペットシアターPROJECTⅡを実行していくプロセスで、いろいろな疎外感や違和感、不登校経験や虐待経験に苦しんできた大人たち、家族がそれぞれにとてもたいへんな大人たち、こどもたちを心配している大人たちに出会ってきました。
 そこでは「楽しい体験がとても大切だ」と、心の底から思うようになりました。

 劇をみて、人とおしゃべりしてみて、心の底から楽しいと思える体験を参加者みんなでつくっていく。それがどんなに大切なことか。
それはミーイズムとは全くちがった楽しさだと、肌で実感してきたのでした。
 みんなで楽しい体験をつくるとは、みんなで楽しさを共有しあうこと。
楽しさを独り占めするミーイズムとは無縁のもの。
 だから「楽しい」を共有しあう場をつくりたいと、腹の底から思うようになってきたのでした。

 そして人形劇アートのちからが発揮されて生まれた「いままでみたことない場」に、素直に驚いています。

 さて事業報告会では、みなさまにその成果が伝わるようにがんばっています。
どの団体様も、みなさまに伝わるようにがんばってあると思います。
 それは小さな一歩かもしれません。
でもその一歩を踏み出すために、どれほどの労力と時間とおカネが必要なのか。痛いほどわかります。

 皆様、事業報告会へどうかお越しください。
お申込みは一般財団法人ちくご川コミュニティ財団さんへ。

たまきちゃん白書

今日は他団体のクラウドファンディングを紹介します。
「たまきちゃん白書で不登校の理解と行動を広げたい」一般財団法人ちくご川コミュニティ財団さんのクラウドファンディングがはじまっています。

寄付募集期間は2月1日から3月31日まで。
目標金額は100万円です。

不登校のこどもたちがいます、それも数多く。
福岡県だけでも1万8148人のこどもが不登校です。
そのこどもたちへの支援が圧倒的に不足しています。
ちくご川コミュニティ財団さんは、2024年に「子どもの多様な学びの場を保障する基金(愛称たまきちゃん)を設立されました。
この基金で不登校の子どものフリースクール利用料補助を目的とした奨学金事業を展開してあります。

でも、まだまだ不登校に対する理解も支援も足りません。
そこで「たまきちゃん白書」を作成し、不登校の子どもの学びの現状と課題を発行されることになりました。
そのためのクラウドファンディングです。

なんとしてもこのクラウドファンディングを成功させましょう!
ちなみに、ちくご川コミュニティ財団さんのクラウドファンディングのコーナーを覗くと、私たちの「一郎くんのリスタート」の写真もみることができますよ。
https://congrant.com/project/chikugogawa/14796?spt_route=GoFsFuL1kEBuI5qe

この作品は、不登校の一郎くんが主人公なんです。

2025年の御挨拶

あけましておめでとうございます。

今からがいよいよ厳しい厳冬期ですね。
木々も丸裸になりました。
しかし、目には見えないけれど、
木々の梢には春を迎えるちからが蓄えられています。

生命(いのち)の営みとは、
丸裸にされて、無残に寒々としていても、
いつだって回復していく、
そんな営みなのかもしれません。
だから、寒々としていても、
凛として美しいのかなあ。

じつは、正月早々、私たちはでフル稼働中です。
(在宅勤務ですけどね)
2025年の助成申請のために、おおわらわ。
いつだって追われてしまう仕事の数々を、一つの枠組みの中に位置づけなおす。
そんな2025年にしたいですね。

一つの枠組みってなに?
それは・・・、

「アートを最も必要としている人々は、アートから最も遠いところにいる」
そこを出発点にして、
人々と一緒になって、
まるで焚火を車座で囲みあうようなアート体験の場をつくる。
私たちのしごとは、そこに帰着する。

これが一つの枠組み。

いのちの営みがいつだって回復していくことならば、
アートの場という焚火を囲むことで、
いつのまにか深く傷ついた心が癒えてくるならば、

アートとは・・・、
いのちの営みと深いところで、
どこかできっと、
つながっているのかもしれません。
こころのどこか奥のほうで・・・。


皆様、2025年もよろしくお願い申し上げます。