WAM助成、採択されました!

2月です。立春ですねえ。
ちくご川コミュニティ財団様のクラウドファンディングは、大成功をおさめました。
この取り組みの画期的意義に、強い感銘を受けております。

さて、弊団体に対して、2024年度パペットシアターPROJECT(困難を抱えるこどもへの文化体験事業)への助成が採択されましたこと、皆様に御報告申し上げます。
助成は、独立行政法人福祉医療機構(WAM)様の子どもの未来応援基金よりいただくことになります。

その結果、2024年度は予算規模で前年比の6倍強、事業実施回数で1,6倍でパペットシアターPROJECTに臨むことが出来るようになりました。

事業回数の伸びに対して、予算規模の伸びの方が多いのは、より質の高い上演にするための上演環境整備(主として照明を充実させるためのスタッフ費用機材費用、質の高い上演を可能にするための会場選択)にあります。

また2024年度に合計5回に増加するパペットシアターPROJECTです。
それを責任を持って支える事務局スタッフ人件費の新設、及び地域円卓会議開催、報告集発行までを予算計上したことにもあります。

えっ?地域円卓会議って何?

そんな疑問を抱かれる皆さんも多いのではないでしょうか?

それは地域の抱える社会課題を、関連する分野の方々が一同に会して集まり、話し合うフォーラムのこと。
そのことで抱える社会課題の本質を浮き彫りにし、解決策を探りあうこと。
市民も参加出来る開かれたフォーラム、それが地域円卓会議です。

私たちは、様々な困難を抱えるこどもたちに共通する課題を探りあい、市民の皆様と共有しあいたいと考えています。
そのための地域円卓会議開催なのです。
2023年度夏に開催した「パペットシアターPROJECT報告会」を拡大発展させようと、ねらったフォーラムでもあります。

私たちは、数々の支援現場を訪れてきたなかで、こどもたちにある共通した課題があることを感じとって来ました。
それを市民の皆様と共有しあいたいと思っているのです。
まずは共有しあう、それも共感的に。

では「共感的に」とはどういうこと?
このことはとても大切なことですが、ここでは置いておきましょう。
ただ、周囲の共感的な理解こそがスタートなのだと強く感じています。
なぜなら、そこから少しずつ地域が変わりはじめるのですから。

パペットシアターPROJECTは、2020年度にスタートしました。
最初は、今よりもっと単純なプログラムでした。
しかし、連携団体様との膝詰めの話し合いや、様々な困難を抱えたこどもたちとふれあう中で、単純なプログラムも徐々に進化していきました。

何しろ限られた時間の中で、最大の効果をねらう必要があるのです。
そして、パペットシアターに訪れたこどもや親子の皆様が「来てよかった」という時間にすることに、全力集中しなければなりません。
それが、まずは最大の眼目になるのです。

私たちも限られた資源と能力をフル稼働させて臨んで来ました。
その中で、プログラムも徐々に進化し、複雑になってきたのでした。

さて尻切れトンボかもしれませんが、この辺りでまとめに入りましょう。

とにもかくにも、助成を受けて2024年度パペットシアターPROJECTを稼働させることが出来るようになりました。
ホッとしています。
新しく連携をすることになる団体の皆様、従来からの連携が続く団体の皆様、2024年度ではよろしくお願いいたします。

またWAMへの助成申請にあたり、貴重な御助言をいただいたちくご川コミュニティ財団様に感謝申し上げます。

【釜】

クラウドファンディングもう少し!

もう梅も咲きました。少しずつ春が近づいています。さて、本日は(1月28日)はちくご川コミュニティ財団様の「子どもの多様な学びの場を保障するための基金」キックオフイベントに参加してきました。
私たち自身の深い学びにつながった、とても有意義な集いでした。

さて、このブログでも以前御紹介しましたが、ちくご川コミュニティ財団様と西日本新聞が共同で進める「子どもの多様な学びを保障するための基金」クラウドファンディングが、いよいよ大詰めになりました。

この基金は、フリースクールに通学するための給付型奨学金制度を、市民の力でつくりあげようという基金です。
目標300万円。

クラウドファンディング期間は1月31日までで。
残すところ僅かです。
目標額達成までにあと一歩です。
皆様、クラウドファンディングに、どうか御協力いただければ幸いです。

不登校の子どもたちに多様な学びの場を保障するということは、多様な出口を保障するということです。
私たちは「一郎くんのリスタート」で、不登校の一郎くんなりの出口を提示しましたが、「フリースクールで学ぶ」というのは、現実の具体的な出口の一つなのだと思っています。

その出口が、経済格差等を理由として閉じられてはなりません。
そのための給付型奨学金を、市民の手で作り出そうというのが、今回のクラウドファンディングです。
ほんとうに画期的な取り組みなのです。
この画期的取り組みを、なんとしても成功させたいものです。

このブログをお読みの皆様、このクラウドファンディング成功のための最後のひと押しに、是非お力をお貸しください。
クラウドファンディングについては下記をクリック。
子どもの多様な学びの場を保障するための基金を立ち上げたい | 一般財団法人ちくご川コミュニティ財団 (congrant.com)

【釜】

保育園公演終わりました

この冬一番の寒波到来。
しかし、冬至の頃とくらべて日没時間もだんだん延びています。
もうすぐ春ですね。

さて、昨日は厳しい寒波の中、久留米市内安武保育園で「ちょうふく山のやまんば」を上演しました。
午前中に上演を終了させるために、まだ真っ暗な中での機材搬入開始でしたが、園児の皆さんにも楽しんでもらえ、疲れも吹っ飛びました。

上演後に、年長さん年中さん全員に人形に触れてもらえる時間もとることが出来ました。
とても嬉しい時間でした。

園児の皆さんの給食のおすそ分けもいただき、おいしくいただきました。
おでんだったのですが、なんと!大根は園児の皆さんが育てたものだそうで、こちらもびっくり。
それほどに立派に育った大根だったのです。

今回の上演にあたりまして、保護者会のM様には大変お世話になりました。行き届いたお世話をいただき、まだ暗い中での駐車から機材搬入開始まで、戸惑うことなくスムーズに流すことが出来ました。
ありがとうございました。

また園長先生はじめ、保育士の先生方にも大変お世話になりました。
温かいおもてなしに、こちらも心がほっこりとしました。
ありがとうございました。

さて、次は2月8日のパペットシアターPROJECTです。
福岡市のフリースクールみんなの学び館様と連携しての取り組みとなります。
人形劇ワークショップから「一郎くんのリスタート」上演と対話のひろばまで。
気を引きしめて臨みます。

それが終わると2月12日の「親子であそぶ人形劇がっこうinちくしの」です。
まだまだ公演やワークショップのラッシュが続きます。

【釜】

ハンガリーの人形劇ミクロポディウム終了

昨日はハンガリーの人形劇ミクロポディウム公演でした。
世界の人形劇をくるめで!市民実行委員会主催で、無事盛況のうちに終わりました。

上演者のレナート・オンドラシュさん、くすのき燕さん、ありがとうございました。

ミクロポディウムの繊細な神秘的な舞台。
人形というモノの繊細な動きがつくりだす幻想的な舞台は、観客の皆様を日常とは違った世界へ誘いました。
人形の繊細な動きから、別宇宙をつくりだす超絶技巧に驚嘆しました。

またくすのき燕さんの三枚のお札は、人形劇のエッセンスが満載の魅力的な作品。
俳優劇と人形劇、その形態の違いを押さえたエンターテインメントな小品でした。
子どもたちを中心に観客を笑いの渦に巻き込みました。

そして、昨日はボランティアのスタッフとして表方で活躍していただいた実行委員会の皆さん、お疲れさまでした。
おかげさまで、表方に大きなトラブルもなく、お客様に喜んで帰っていただくことが出来ました。

またきめ細かい対応をしていただいた石橋文化センタースタッフの皆様、助成をいただいた福岡県教育文化奨学財団様、資金補助をいただいた久留米 連合文化会の皆様にも御礼申し上げます。

さて劇列車は、明日明後日と、来週火曜日の久留米市内Y保育園「ちょうふく山のやまんば」公演のために、仕上げ稽古に入ります。

それが終われば、福岡市ふくふくプラザでのパペットシアターPROJECT「一郎くんのリスタート」。
そして「親子であそぶ人形劇がっこうinちくしの」「こども人形劇がっこう~低学年編」「こども人形劇がっこう~高学年編」とワークショップの三連続。
さらに「P新人賞受賞記念久留米公演~さちの物語」へと続きます。

ただいま公演とイベントラッシュの渦中です。
体調に気を付けて、このラッシュを頑張って乗りきっていきます。

【釜】

『対話のひろば』が目指すもの

昨日はパペットシアターPROJECT。ボナペティ様と連携して「一郎くんのリスタート」観劇と対話のひろばを実施いたしました。
当日の運営をお手伝いくださったみなさま、ありがとうございました。
また、ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。

「一郎くんのリスタート」は、宮沢賢治童話「どんぐりと山猫」から着想を得て創ったスピンオフ作品です。私たちの作品の主人公一郎は、学校に行っていない(学校に行けない)少年と設定しています。彼の感じている閉塞感・孤立感、そして“出口”を見つけたあとの心理的開放感を、この作品で描いてきました。

不登校を経験した当事者・家族は、大きく頷きながらこの作品を観ます。ある方は、一郎が出口を見つけたことに共感し「私も出口を探し続けたい」と。時には登場人物の両親に心を寄せて「最初のころはこうだったよね」と。

一方で、不登校当事者以外の方々の感想は、両極端に分かれる傾向にあります。「不登校は経験していないけれど、涙が出るほど一郎の苦しみがよく分かる。」という感想と、「どう観ていいか分からない。」という感想です。

このお話は、寓話です。たとえ話のスタイルを取っていますので、観客にとっての経験の引き出しと結び合わせて観る作品です。そのため、個々人の人生経験によって受け取り方が大きく変わります。

自分の感想は、自分だけの大切なものです。
ところが、観劇後のおしゃべり会「対話のひろば」の時間に、自分の感想と他者との感想を聞き合うことで、とたんに深みのある感想になっていくのです。

対話のひろばが終わると、ある方がこんな感想をおっしゃってくださいました。
「自分は“こういう話だろう”と理解して観ていたけれど、他の方は“ひっかかるポイント”が違っていて、それがおもしろかった。」

そうですよね。他者の感想を受けて再び自分の感想を思い返してみると、“なぜ自分はそう感じたのか”“どうして他者はそう感じたのか”と、劇を観た直後の感想よりさらに深い思考に入ることができます。
「対話のひろば」は、参加者同士のそのような化学反応をねらっています。
このような化学反応の場では、私たち上演班もいち参加者にしかすぎません。みなさんのご感想から、私たち自身も思考が深まっていきます。そこには、“一方的に発信する上演者”と“受け身の観客”という境界線なんて生まれるはずがありません。誰もが自分自身の思考の海に潜り込み、自己内対話を行いはじめるのです。

対話のひろばの時間は、“算数の時間”“体育の時間”のような「こうしなければならない時間」ではありません。参加したみなさんにとっての自己内対話のひとときとなることもあれば、参加したみなさんが苦しみを言語化するカミングアウトのひとときになることもあります。

一郎の苦しみに自分の人生で経験してきた苦しみが共鳴し、しゃべりたくなる。聞いていた別の方がその方の心の琴線に触れ、自分もしゃべりたくなるという連鎖が生まれることもあります。
言語化することは、とても大切なことです。他者に向かって発信するときに、「あぁ、自分が苦しんでいた事柄はこれか」と自分の中の苦しみが輪郭をもってはっきりと見えるようになるのです。私自身が、その経験をしてきました。

はっきりと輪郭が見えてくると、「ぼんやりと漫然とただひたすら苦しんでいる」心の状態から、「苦しんでいる理由が分かる」心の状態に移行します。
苦しいことには変わりないのですが、本人の心理状態には雲泥の差があるのです。

誰かの苦しみのカミングアウトに背中を押され、自分の苦しみもカミングアウトできる。それは、「これを発言しても大丈夫」と思える場が成立したときに生まれる結果です。強制されて話せるものではありません。

自分自身や家族が不登校経験者ではないと、“不登校”に含まれる具体的な問題は分からないかもしれません。でも、学校に行けなくて苦しんでいる子・家庭の苦しみには、自分の苦しみの経験をもって共鳴することができるのです。

ボナペティ様と連携して実施したパペットシアターPROJECTでは、ほんとうにたくさんの、多様な化学反応があちこちで起きていました。
参加されたみなさまにとって、「あぁ、参加してよかったなぁ」と思える時間となっていましたら、こんなに嬉しいことはありません。

最後に、今回の実施に当たり、フリースクール関係者や学校に行けてない子どもがいる家庭の方々など、あちこちに声を掛けてくださったボナペティ様。
催しの終了後もひっきりなしにボナペティ事務局長T様と話し込んである参加者の方々の様子を拝見しながら、食材支援を超えた“心の支援”の実際を目の当たりにさせていただきました。
ボナペティT様ならびにスタッフのみなさま、本当に、お疲れ様でした。

【尚】